みなさんこんにちは。
35mm F1.2 DG DNはシグマがフルサイズミラーレス用に設計した初めての単焦点レンズで2019年7月26日に発売されました。
このレンズを使用した上での感想と、メリットデメリットを語ります。
E、Lマウントの35mm単焦点レンズの選択肢が豊富な今、このレンズを選ぶべきなのか?
この記事は今このレンズを検討している人や、すでに持っている人など、様々な人にとって参考になると思います。
F1.2とF1.4の違いを知りたい方もぜひ見てくださいね。
このレンズを購入した最大の理由と比較したレンズ
「35~50mmくらいの画角に単焦点レンズが欲しいな」と思い検討を始めました。
そして35mmの単焦点に決定。
50mmではなく35mmにした理由
- 僕にとって50mmは標準レンズとして使うにあたり少し狭い。
- 広い画角でもボケ感を表現したかった。
- いざAPS-Cクロップすると、換算52.5mmF1.8として使えるので汎用性が高い。
- すでに85mmF1.4を持っており50mmでは画角が近い。
そこで、最近発売されたSONY 35mm F1.4 GMとシグマ35mm F1.4 DG DN Artと迷いました。
35mm F1.4 GM | 35mm F1.4 DG DN | 35mm F1.2 DG DN | |
---|---|---|---|
径x長さ | 76mm×96mm | 75.5mm×109.5mm | 87.8mm × 138.2mm |
重量 | 524g | 645g | 1090g |
最短撮影距離 | 27-25cm(MF) | 30cm | 30cm |
最大撮影倍率 | 0.23-0.26倍(MF) | 0.185倍 | 0.185倍 |
フィルター径 | 67mm | 67mm | 82mm |
絞り羽根枚数 | 11 | 11 | 11 |
最安価格(2021-11月) | ¥160000 | ¥85000 | ¥140000 |
35mmF1.4GM
サイズが小さくマクロ性能が高い。
35mm F1.4 DG DN
価格が安く、11枚絞りARTレンズだからコスパに優れる。
35mm F1.2 DG DN
巨大だけど唯一F1.2
35mm F1.2 DG DNに決定した理由は、どうせなら最高スペックが欲しかったからです。
APS-Cクロップしたときは、明るさは紛れもないF1.2で、ノイズレスの速いシャッターを切れる。
フルサイズ換算の画角とボケ量的には52.5mm F1.8相当です。
※35mmF1.4でAPS-Cクロップときは、換算52.5mm F2相当のボケ量。
結局35mm F1.4 DG DNも購入しましたw
F1.2とF1.4の違いはわずかなので、重さと引き換えに本当に必要なスペックなのかは検討が必要。
では詳しく見ていきましょう。
外観
↑の写真は. ←から
1. 85mm F1.4 DG DN(シグマ)
2. 105mm F2.8 DG DN(シグマ)
3. 24-70mm F2.8 DG DN(シグマ)
4. 本レンズ(シグマ)
5. 70-180mm F2.8(タムロン) です。
本レンズは径87.8x長さ138.2 mmと24-70mmF2.8をも超えてしまう圧倒的サイズ
24-70mm F2.8 DG DNは830gに対し、こちらは1090g
個人的には撮影時にはバランスがいいのかそんなに重たいと感じません。
ただ運搬時には間違いなくのしかかってくる重さで、バッグの隙間にとりあえず放り込めるという大きさではありません。
F1.2のボケ量や明るさ。F1.4と比較
F1.4との差はほとんど感じられなく、この少しの違いで重さは倍近いので迷うとこでしょう。
測光モード/F値 | F1.2 | F1.4 |
---|---|---|
マルチ | 1/1000 | 1/1000 |
中央重点 | 1/1000 | 1/800 |
測光モードをマルチにすると周辺減光の影響を受けるからです。
シャッタースピードという点においてもほとんど違いがないなと思いました。
F2.8とは明確に違いがありますので、ズームレンズをお使いでボケが欲しい方は単焦点レンズを検討する必要があります。
85mmF1.4とボケ量を比較
もちろん85mmの方がボケます。
85mm以上の圧縮効果+ボケの表現はみなさんもう見慣れていると思いますが、35mmの広角でこれだけボケが得れるのは良いですよね。
周辺減光
わかりにくい写真で恐縮ですが、
開放では周辺減光が顕著。
F2.2でだいぶ収まり
F2.5ではもうほとんど気になりません。
F2.8ではもうこれ以上絞る必要がないくらいに改善しています。
⇩F1.2の周辺減光はものすごいです
玉ボケ
F1.2はレモンボケですが、SONY 50mm F1.2も開放はレモンボケです。
その他、NIKON Z50mm F1.2やCANON RF 50mm F1.2の作例をみましたが、やはり大口径レンズで開放で撮ったときの隅のレモンボケは仕方がないと思います。
レモンボケを目立たないようにするにはF2まで絞りましょう。
F2.2までいくと完全に収束している。
歪曲
このレンズの大きさの割にはかなり歪曲が大きく感じました。
解像番長
接写にも関わらず開放から凄まじい解像力
F2.2の写真↓
このレンズは寄れるわけではないが、高画素機を使用の場合はそこまで問題になりません。
この近距離での解像力を加味すると安心してクロップできます。
また、その方が被写界深度を確保できるのでそういう意味ではメリットです。
中心部より手前に被写体がありますが、それを考慮しても隅の解像力の落ち込みは少ないと思いました。
F1.2開放の隅とは思えない、衝撃の解像性能です。
色収差
少しわかりにくい写真ですが、35mmF1.2はそれなりに色収差が目に付く。
光の波長の違いにより、前ボケがパープルに色付き、後ろボケが緑に色付く。
あとからソフトウェア補正すると必要な色まで消してしまうので
最初から発生しない(光学的に補正)状況が望ましい。
24-70mmF2.8は開放のF2.8でも収差はほとんどない。
↓のほうがわかりやすいですね。
両方使用していて、85mm F1.4のほうが目立つシチュエーションは少ないなと思います。
明るいレンズほど収差の補正が難しいとされているので、仕方がないのかも。
フォーカスブリージング
フォーカスブリージングとはピント位置によって画角が変化してしまうことで、レンズにより変化量が異なります。
静止画ではあまり影響はありませんが、動画だとブリージングが少ない方がいいと言われています。
↓タムロン35mmF2.8
↓35mmF1.2
35mmF1.2はほとんど画角が変化しないので優秀です。
AF
35mm F1.2 DG DNのAFは遅めで駆動音がそれなりにします。
駆動方式はシグマが一眼レフ用レンズに採用していたのと同じ超音波モーターHSM駆動。
駆動音も聞いて欲しいです。
↓AF速度(a7Riii 撮影時の設定4K24p)
↓AF追従(a7Riii 撮影時の設定フルHD60p)
24-70mm F2.8 DG DNの方が無音で追従もスムーズ。
ですが、手前から奥へ移動するときはいずれのレンズももたつきやすい。これはa7iiiの問題であり、a7 IVであればかなり改善します。
スチルのAF速度は不満を感じませんでした。
35mm F1.2の使い道。
・F1.2は一体どういう被写体で使えるのか?
・どんな表現ができるのか?
このレンズを購入検討する方は恐らくF1.2が気になる人でしょう。
ですので今から作例を載せますが、すべてF1.2で撮影しています。(ほぼ撮って出しに近い状態)
バイクを撮影
バイクと風景を一緒に撮影されたい方。
車を撮影
もう少し離れれば
背景も相当広く写ると思います。
それでいてボケますので結構かっこいいと思います。
水族館で撮影
ここからはAPS−Cクロップで撮影した写真
ここからは85mm F1.4 DG DNで撮影した写真
ご覧の通り、35mm F1.2 DG DNを使用したときはAPS-Cクロップして撮影することが多かったです。
水族館は50mmか85mmが使いやすい印象です。
花を撮影
14mmの超広角や150~600mmくらいの超望遠域で花を撮ることが多いですが、このレンズで花を撮影しても楽しいです。
かなりふわふわに撮れます。
人物撮影
35mmは被写体に近づいて撮影しますので被写界深度が半端なく浅い。
F1.2で両目にピントを合わせる時は僕はできる限り正面から撮影しています。
a7 iiiの瞳AFでも外すことがかなりあります。それだけピント面がシビアなんでしょう。
風景スナップ
前ボケをいれて立体感を出すことができます。
普通F値をあげて撮るはずの風景をいかにF1.2で表現するか?
それを考えながら撮るのが非常に楽しいですが、かなり難しいです🤣
夜の風景スナップ
被写界深度の浅さが邪魔になるときがあり、個人的には手ブレ補正が強力なマイクロフォーサーズ機で夜景スナップするほうが汎用性が高いと思いました。
星の撮影
僕はあまり星を撮りませんが、明るいので星の撮影には向いているんじゃないかと思います。
料理を撮影
割と適当にF1.2に撮っただけですが、かなり独特な表現です。
前後のボケは非常に滑らか。
ただ、ここまでの被写界深度が必要なのかというと、「うーん」
個人的にはF2.2に絞ってもまだ浅く感じます↓
結局35mmの画角では寄りたくなるし、寄ればボケボケになるので絞る必要がある。
僕の撮影用途で、フルサイズの明るいレンズは汎用性が低く感じてきました。
このレンズのいいところ。
開放から隅まで非常にシャープで、解像力において絞る必要を感じませんでした。
②30cm~数mの近距離で普通じゃ考えられないボケを表現できる。
遠景では前ボケを取り入れたりする創意工夫が楽しい。ただ、難しい🤣
③F1.2という明るさ
暗いところに強い。曇りでもISO100のまま1/1000確保できました。
④テンション、楽しさ。
このレンズは重さや質感から「撮るぞ〜!」っていう気分にさせてくれる。
撮っていて楽しいというのは個人的にはメリットです。
⑤APS-Cモードで52.5mmF1.2として使える汎用性
冒頭で申し上げた通り広角標準域からガチ標準域へと変貌できる汎用性は大きい。
⑥ボケが綺麗
前後のボケが非常に滑らかで綺麗です。
このレンズの悪いところ
あとから補正できるといっても無理やりソフトウェアで明るくしているだけなので、周辺減光はないに越したことはない。
歪曲に関しては最近のレンズに関してはソフトウェア補正前提なので気にしていたら疲れますね。
ただ、このレンズの大きさを考慮すると、周辺減光と歪曲はもう少し減らせないものなのかと思いました。
②色収差
軸上色収差が目についてしまいます。
85mmF1.4の色収差の少なさとどうしても比較してしまう・・
③AF(それなりに駆動音がし、速度が遅め)
先程検証動画あげましたが、遅めの部類。
ただ、SONY機自体のAFが速いので、トータル的にはほとんど問題になりません。
速い物を追いかける焦点距離ではないので個人的にはそこまで気にしていない。
瞳AFの精度については完璧とは言えなく、a7RiiiでF1.2で取るとピンボケ写真はそれなりに発生しました。
④大きさ
2019年当時、シグマは小型化の意識が今より少なかったのかと思います。
Eマウントレンズでここまで巨大な標準単焦点レンズは2度と出ないのでは?
⑤実用性
35mmはスナップにも使いやすい焦点距離ではありますが、このレンズはかなり重たい上に、フルサイズのF1.2の被写界深度の優位性が出せる場面は少なく感じました。(むしろ邪魔に感じることも・・)
旅行やレジャーにも気軽に持ち運べるわけでもなく、ガチの撮影をする際にも35mmは超広角や中望遠のように簡単にパンチが出せない。
あと、35mmというと物撮りや人物撮影などの場合、ある程度被写体に寄ることが多くなると思いますが、寄った時にフルサイズのF1.2で撮影するとピントがシビアすぎる。
ピント部に奥行きを持たせたら特に難しいので、例えば人物で目にピントをしっかり合わせたいなら正面から撮るなどの工夫が必要。
ちなみに被写界深度と背景ボケは別物です。
ただ単に背景をボカしたい人は中望遠以降でF2.8〜F4あたりを使う方が、被写体全体にピントが来ているのに背景はボケているという写真が撮りやすいです。
まとめ
35mm F1.2DG DN 特徴まとめ
- 周辺減光、収差などに妥協が必要で、解像性能と明るさだけに全振りした感じ。
- 肝心の解像性能は、かなり優秀ですが、より小ぶりの35mm F1.4 GMに負けるらしい。
- F1.2とF1.4の違いは明るさもボケ量も僅差なので、実用性は微妙。
個人的には、同じシグマのフルサイズミラーレス用DG DNシリーズの35mm F1.4 DG DNの方が、大半の人には向いているんじゃないかなと思います。予算が許すなら35mm F1.4 GMレンズですね。
僕は35mm F1.4 DG DNに買い替えました。
35mmという広角でF1.2という明るさはかなり設計が難しいのかもしれない。
ここまでを読んでそれでも35mmでF1.2という明るさが欲しい方は是非ともこのレンズを手に入れて欲しいです。
F1.2はもはや男のロマン的な領域だと思いましたね。
以上。すべて主観的な感想でした。ありがとうございました。
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42.5mm F1.7 | ||
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※すべてのレンズでこのようになるわけではありませんが、傾向がわかるかと思います
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