レンズのスペックを見てて、「これってどういう意味?」と思う項目もあるかと思いますので、解説していこうと思います。
- SONYの24-70mm F2.8 GMというレンズを参考にします。
焦点距離:24-70mm
開放F値:F2.8
レンズ構成:13群18枚
絞り羽根枚数 : 9枚
最短撮影距離:0.38m
最大撮影倍率:0.24倍
フィルター径:φ82mm
AFモーター:リニアモーター
大きさ:最大径φ87.6mm、全長136mm
質量:約886g
見慣れない項目もあるかと思います。
上から順に解説します。(大きさと質量は割愛します)
焦点距離
焦点距離とはセンサーからレンズまでの距離のことで、その距離によって実際に写真に写る範囲(画角)が変わります。
焦点距離はmmという単位で表されます。
開放F値
開放F値とは、そのレンズの最も低く設定できるF値のことです。
F値が低いほど光を多く取り入れることができますので、開放F値が低いレンズほど高性能です。
また、F値が低いほどピントが合う範囲が狭くなり、ピント面以外がボケやすくなります。
ズームレンズでは開放F値がF2.8のレンズ、単焦点レンズではF1.2やF1.4のレンズが高性能と言われています。(それより低く設定できるレンズもあります。)
開放F値についてはこちらでも解説しています。
レンズ構成
レンズ構成の郡とはレンズのグループの数で、枚とは実際に使われているレンズの数です。
例えば2つのレンズが一つにくっついていれば1郡2枚ということです。
枚数が多いほうが開放F値が低く高性能レンズであることが多いが、重量は重くなる。
郡数や枚数で画質がすべて決まるといったわけではないので、そこまで気に留めなくていいんじゃないかなと思います。
絞り羽根枚数
レンズの中には絞り羽根が入っています。
絞り羽根枚数の違いによる玉ボケの違い
絞り羽根の枚数F値をあげたときに写真の隅の玉ボケが角づきやすくなります。
↓の写真は絞り羽根7枚のレンズで撮った写真ですが、F2.8のときにはすでに隅の玉ボケが7角形になりつつあります。
一方↓の写真は絞り羽根11枚のレンズで撮った写真ですが、F5.6でもまだ円形に近いです。
理由は、絞り羽根が多いほうが絞っても絞り羽根の内側が円形に維持されるからです。この形がそのまま写真の玉ボケに影響します。
光条の違い
↓の写真は、←が絞り羽根7枚、→が絞り羽根9枚です。
ご覧の通り、光条の出方もかわります。
光条に関しては好みですが、玉ボケに関しては円形に近いことが理想とされていますので、絞り羽根枚数が多いほうが望ましい。
実際に高価なレンズほど、絞り羽根が多い傾向にあります。
最短撮影距離
最短撮影距離とは、ピントが合わせられる最短の距離のことです。
つまり、どれだけ被写体に近づけるかのこと。
注意点が一つありまして、この距離とはレンズ先端からの距離ではなくセンサーからの距離になります。
最短撮影距離について詳しく知りたい方はこちらで解説しております。
最大撮影倍率
被写体をどれだけ大きく写せるかのことです。
仕様には0.5倍だったり、1:2のような表記で書いてます。
1倍だとセンサーと同じ大きさの被写体が画面いっぱいに映るということです。
同じ最大撮影倍率1倍でもセンサーが小さい方がより被写体を大きく写すことができるぞ!
例えばマイクロフォーサーズの場合は、フルサイズよりもセンサーが小さいので、より小さい被写体を画面いっぱいに写すことができるようになる。
この○○倍の数字が大きければ大きいほど被写体を大きく写すことができると考えていただければOKです。
最大撮影倍率についてより詳しく知りたい方はこちらで解説しておりますので御覧ください。
フィルター径
フィルター径とは、レンズの先端のレンズフィルターを取り付けるための径のことです。
レンズフィルターとはプロテクトフィルターやNDフィルターなどのことです。
取り付ける際にはレンズのフィルター径と取り付けるフィルター径を同じ数字で合わせればOKです。
例:レンズのフィルター径が82mmであれば取り付けるフィルターも82mmを選べば取付可能。
もし82mmのレンズと67mmのレンズをお持ちであれば、フィルターも2枚揃えないといけないですが、ご予算や取り回しを考えて1枚にしたいと思う場合は82mmのフィルターを買うことをおすすめします。
理由はこちらで解説しています。
AFモーター
AFモーターとは、AF(オートフォーカス)を作動させるための駆動モーターのことです。
(オートフォーカスは、ピントを自動で被写体に合わせてくれる機能のこと。)
大きく分けて4つの種類のAFモーターが採用されていて、それぞれの傾向は以下になります。
DCモーター | ステッピングモーター | 超音波モーター | リニアモーター | |
---|---|---|---|---|
駆動音 | 大きい | 小さい | 並 | 小さい |
駆動力 | 強い | 弱い | 強い | 弱い |
AF速度 | 遅い | 並 | 速い | 速い |
価格 | 安い | 並 | 高い | 高い |
どのモーターが採用されているかで結構挙動が変わりますので、意識した上でレンズ選択をしましょう。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
高倍率ズームとマクロ単焦点の違い
パンケーキ平凡ズームとパンケーキF1.7単焦点の違い
平凡ズームと大三元ズームの違い
大三元ズームレンズとF2.8ハーフマクロ単焦点レンズの違い
マイクロフォーサーズ平凡レンズとAPS-C平凡レンズの違い
マイクロフォーサーズ大三元レンズとAPS-C・フルサイズ小三元レンズの違い
※すべてのレンズでこのようになるわけではありませんが、傾向がわかるかと思います
コメント
いつも記事を見て勉強させて頂いてます。
「焦点距離とはセンサーからレンズまでの距離のこと」の事ですが、私のイメージからすると、望遠レンズは長い・広角レンズは短いと思ってます。
質問ですが、シグマ3兄弟と言われてるF1.4の単焦点レンズ「16mm 30mm 56mm」は広角16mmが一番長いです。
「センサーからレンズまで」のレンズまでとは、どのレンズを指すのでしょうか?
前玉ではなく、後玉のことですか?
自分も気になって以前調べたのですが、カメラ用のレンズは1枚で出来ていないため、より複雑化するそうです。
例えばマイクロフォーサーズには7mmで出来たレンズがありますが、センサーからレンズまでどう考えても7mm以上あります。
フルサイズの600mmの望遠レンズも実際には60cm以下の長さのレンズもあります。
焦点距離はあくまで1枚のレンズとしてみたときの目安であって、実際の長さとは一致しません。
ですので、今回の「レンズまで」というのも1枚のレンズと考えたときの表現であって、実際には複数のレンズで光が複雑に折れ曲り焦点距離も変化しています。
結構難しい話なので、続きはご自身でお調べ頂けたらと思います。
僕たち撮影者側は、焦点距離の数字は画角を把握するための基準として捉えるくらいが良いんじゃないかと思います^^