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日中シンクロをする方法2つ。ハイスピードシンクロ、フラッシュ同調速度とは何か。

みなさんこんにちは。
カメラを始めると絶対に持っておきたいアイテムはストロボです。

ストロボを発光させて日中屋外で撮影することを日中シンクロといいます

今回は日中シンクロをする方法について解説します。

まず日中シンクロをするためにはフラッシュ同調速度について理解する必要があるため、解説します。

光に関することの記事3つ
光に関する知識。何故光が重要なのか。光の読み方。
ストロボ光の基礎知識。柔らかい光を作るための方法や知識を検証を用いて解説
ストロボ光の応用知識。日中シンクロをする方法2つ。フラッシュ同調速度とは何か。←本記事
 
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フラッシュ同調速度とは?

ストロボ(フラッシュ)撮影をする際、カメラ側で最速のSS(シャッタースピード)が1/160だったり1/250だったりに制限されます。この最速の値はカメラによって違い、この制限以下で撮るとストロボで問題なく撮影できます。

ストロボを使ったときに設定できる最速のSSのことをフラッシュ同調速度といい、ハイスペックのカメラほど速いSSでシャッターを切れます。

 SONY a1CANON R5SONY a7iiiPana GX7MK2
価格75万円ほど45万円ほど20万円ほど10万円以下
フラッシュ同調速度1/400秒1/2501/2501/160

sony a1は世界最速の1/400です。普通は1/250だといい方です。エントリー機だと1/160や1/200だったりします。

同調速度を超えて撮影するとこのように一部分が黒くなりますので、実質不可能に近いです。

同調速度以上のシャッタースピードでストロボ撮影できない理由

例えばa7iiiというカメラの場合、同調速度が1/250です。

1/250以下のシャッター速度ではシャッター幕がすべて開く瞬間があるので、そのタイミングにストロボの閃光を取り入れることができます。

しかし、SSが同調速度より速くなると、光を取り入れる際にシャッター幕がすべて開いてセンサーがフルオープンという瞬間が一瞬たりともありません。

つまり、限りなく一瞬の光であるストロボ光をすべて取り入れることができないのです。詳しくこちらで解説しています。

日中シンクロとは?

日中屋外でストロボ撮影することを日中シンクロといいます

日中の屋外はかなり明るいので、ポートレートをしようと思うとシャッタースピードが1/250以上になりますよね。

ですが、先程解説したとおり、ストロボを光らせることができるのは概ね1/250までです。

F値を上げると1/250までに抑えることはできますが、日中シンクロ=ポートレート=F値を低くして背景をボカして撮るということが一般的です。

そこで、1/250よりSSが速くなるときにストロボを光らせる方法が2つあります。

それはNDフィルターを使う方法と、ハイスピードシンクロを使う方法です。

NDフィルターを使用して日中シンクロする方法

NDフィルター(レンズの前につけるフィルター)を利用すればシャッター速度を落とせるため、日中の屋外でもストロボ撮影が可能になります。

NDフィルターとは光量を落とすためにレンズの前につけるサングラスのようなものです。減光量によって数字が振られています。

減光量別に複数のNDフィルターを持っておくのが理想ですが、もしも予算が限られていたり、取り回しが億劫で1~2枚しか持ち歩きたくないといった場合は以下をご参考ください。

F1.4クラスで撮影したい場合 → ND 64or128がおすすめです

F2.8クラスで撮影したい場合 → ND16or32あたりがおすすめです。

これでもすべての状況で適切な減光になるかは疑問ですので、2枚重ねすることも視野に入れてください。

例えばND8と16を2枚重ねると、8 x 16 = ND128 として使うことができます

※この場合NDフィルターが分厚くなりますので広角レンズでは、ケラれる(レンズの4隅に光が届かなく暗くなる)可能性があるのが注意点です。

やはり一番便利なのは可変式のNDフィルターですね。状況によって減光を調整できます。
可変NDフィルターは複数枚NDを持ち運ぶ必要がなくなりますし、日中シンクロや動画撮影なんかでは状況に応じて瞬時に減光調整できるので特に便利ですね。

こちらの場合ND2-400の間が自由に調整できます。
ですがND400までは実質使えなく、焦点距離にもよりますがND16~32くらいまでに留めておいた方がいいです。露光ムラが発生しますので。そこが可変NDフィルターのデメリットの一つです。

可変式NDフィルターのデメリット
①Xムラが出る。(減光量を強めるほど写真の一部分が暗くなる)
②通常のNDフィルターの1.5倍ほどの厚みがある。
③通常のNDフィルターよりも一回り径が大きい。
つまりレンズフードが付けれなくなります。

他の可変NDも似たような傾向があり、Xムラが全くないっていう可変フィルターはないので注意が必要です。

70mm以降の中望遠でポートレートをするのであれば可変でもいけると思いますね。

NDフィルターを使うメリット

①ストロボに負担をかけない。

②ストロボの最大光量で使用できる。

NDフィルターを使うデメリット

①別途機材を用意する手間と費用

②着脱の手間

③画質が落ちる。(色味がかわったり、解像感が落ちたり、逆光耐性が落ちたり)ピントも少し合いにくくなる。

④ケラれるかの心配

ハイスピードシンクロを使用して日中シンクロする方法

これはストロボの機能を使います。中にはこの機能がないストロボもありますので、もししたい方はこの機能があるストロボをチョイスしてください。

ハイスピードシンクロを使うと、通常よりも長くストロボ光を出し続けるFP発光になります。

したがって、シャッター幕が動作している間ストロボ光を取り入れることができるようになります。

ハイスピードシンクロのメリット

①実際に速いシャッタースピードなのでブレを気にしなくてもいい。

②設定を変えるだけで可能。手間が少ない。

ハイスピードシンクロのデメリット

①光を出し続けるためストロボに負荷がかかる。
最悪の場合、故障します。

②通常の発光とは異なるFP発光のため、光量が落ちる。
真っ昼間に日中シンクロしようとすると、かなり光量が強いストロボを使う必要があります。

日中シンクロにおすすめのストロボ

日中シンクロはかなりストロボの光量が求められます。太陽に負けない光量が必要になるためですね。

TT600というストロボでフル発光。撮って出し

この写真は2月の夕方16時頃ですが、GN60のTT600の1/1でも非常に厳しい状況となりました。画角内にストロボが写るくらい近づけて、やっとちょうどいい光量です。

TT600クラスのストロボで日中シンクロをすると、チャージ時間的にも光量的にも厳しいと思われます。

フラッシュを近づけて撮影し、画角に入った分はPhotoshopで消すといったことが必要になる場合があります。

フォトショップで写り込んだストロボを消し。

ただ、1枚1枚この作業をするのは酷ですし、複雑な柄にストロボが被って写っていた場合、Photoshopで消すのも大変です。

ちなみにディフューザーは簡易的なTYCKAの物を使用しています。

直射だとISO100で済むところにこのディフューザーを使うとISO250必要になります。つまり、付けるだけで光量が半分以下になるということです。

これより大きいしっかりとしたソフトボックスであれば、もっと光が拡散して光量が小さくなることも考えられます。直射するともう少し光量が稼げますので、もう少し離れることができます。

TT600(GN60)でもなんとかなるケース(雲が多い日など)もあります。

太陽が雲に隠れた逆光で1/1で撮影。敢えてアンブレラを画角の中に入れて撮影しています

 

2.5mほど離れたところから直射

TT600とTT600S(SONY用)がありますが、個人的にはTT600がおすすめです。

理由が知りたい方はこちらをタップしてください

理由
・TT600はPanasonic、オリンパス、CANON、NIKON、FUJIFILMなど様々なメーカーのカメラで使えます。

 

・TT600はSONY機でも使えます。(その場合、HSS,TTL発光というものができなくなりますが、そもそもTT600は単体でHSS使用不可で、TTL発光の機能に関しては搭載されていない。)

・逆は不可です。つまり、TT600Sを他のメーカーのカメラでは使えません。

・TT600は端子が金属製、TT600Sはプラスチックなので、金属のほうが頑丈で取り外ししやすい。

TTL発光とは
カメラが周囲の明るさを検知して、自動的にストロボの光量を調節してくれる機能のこと。
正直、不必要な機能です。結局マニュアルで光量の調節をするのが一番確実です。

TT600をSONY機で使う際の唯一のデメリットは、同調速度ギリギリで撮ると上部がケラれることです。
例えばSONY a7iiiはストロボ使用したときの最速シャッター速度は1/250ですが、1/200に落とさないと上部がケラれてしまうので、人物写真のブレをなるべく少なくしたい場合はTT600Sを買うしかありません。

もしXPRO-Sを使用してTT600をカメラから離して使う場合は、TT600でもTT600Sでも全く変わりません。

アンブレラやソフトボックスを使用するとすると、光がより拡散し、クリップオンストロボでは光量が足りない場合も出てきます。モノブロックストロボも検討しましょう。

最低でもAD200にする必要があるんじゃないかなと思います。

ハイスピードシンクロを使用するならば、より光量の強いAD300PRO以上の機種にしておくのが無難ですね。

最近AD300PROを購入しましたので、TT600との光量比較を後日追記します。

定常光(太陽、電灯)とストロボ光(閃光)の違い。

ストロボ光は数万分の1秒という一瞬の光(閃光)です。
ストロボ(閃光)以外の光を定常光と言います。例えば、自然光(太陽)や電灯のこと。
定常光の特徴は光り続けていることですね。
ビデオライトなんかも定常光です。

定常光はシャッタースピードが長くなれば長いほど明るくなる。

※写真はすべてISO200 F14 ストロボはGN60 1/1(光量MAX)で発光していてSSを変化させて違いを見ています。

まずはストロボなしで部屋の照明だけで撮った写真をご覧ください。

これは当然ですよね。
定常光は光り続けていますので、取り入れる時間が長くなれば長くなるほど、明るくなるわけです。

ストロボ光(閃光)はシャッタースピードが明るさに影響しない。

先程の状況にストロボ光をプラスしてみました。

同調速度内

「SS(シャッタースピード)遅い方が、わずかに明るいやないか!」と思われたかもしれませんが、それは長いSSではストロボ光以外の部屋の照明も影響するからです。
1/100を超えると全く同じ明るさになっていると思います。
それは環境光がほとんど影響していないSSになっているからです。

ハイスピードシャッターストロボ光(FP発光)は定常光と同じ?

ハイスピードシャッターで撮った写真↓

同調速度外(ハイスピードシャッター)

同調範囲の1/250から同調範囲外のHHSモード1/320になっただけで、かなり暗くなります。

ハイスピードシャッター(HHS)はストロボの光が閃光ではなく、FP発光になることによって光続けるということは、いわば定常光のような状態になってるんじゃないかと思います。

ハイスピードシンクロの場合、シャッタースピードが速くなればなるほど露出が暗くなるといったことだけ覚えていただければOKです。

ストロボ光(閃光)で照らされた部分の被写体はブレない。

これは真っ暗闇の部屋の中SS0.4秒で手持ちで撮影しています。

時計部分を拡大してみます。

全くブレていません。

このようにストロボ光は一瞬の光で被写体を止めることができるほどの光量があるため、手持ちで1秒露光したとしてもブレません。

だがここで注意点があります。もしも部屋の電気をつけていたとしたら、定常光が影響して手持ちでスローシャッターを切ると、確実にブレてしまいます。

照明をつけて、ストロボも発光させて、手持ちでかなりラフに撮影↓

部屋の照明をつけました。

つまり、ストロボ撮影では、ストロボ光の当たっている部分(絶対ブレない)とブレている定常光部分のミックスした写真になります。

いわゆる合成写真のようなイメージでオッケーです。

この知識を踏まえて、実際の撮影では以下のようなことが言えます。
・屋外夜景+静止物(バイク、車など)
三脚 & ストロボでISOをあげずに撮影することができます。

・屋外夜景+人物
 (三脚あり)
三脚を使い、シャッタースピード1/20くらい(あくまで目安)を確保すれば、ISOを上げずに、背景も人物もブレない写真が撮れます。それよりもシャッタースピードを遅くすると、環境光の影響で人物のブレが目立ちはじめるので難しいです。

・屋外夜景+人物(三脚なし)
ストロボ光は風景には影響を与えることができませんので、背景も明るく写したいなら明るいレンズを使ったり、ある程度ISOを上げる必要があります。

・屋内

三脚なしでもストロボさえあれば、大体の状況でISOを上げずに撮れます。

ただ天井バウンスさせると拡散する分、光量が低下していまいます。
光量の弱いストロボや広い室内では、光が均等に回らなかったり、ISOを上げないといけない状況が出てきます。

おまけ。星空ポートレートについて考えてみる。

以前、人物を交えた星空撮影をしました。
その経験を踏まえ、どういう設定が最適解なのか考えてみますね。


↑は露光15秒で先幕シンクロではなく、後幕シンクロで発光している。
辺りは真っ暗ではなかったので、定常光が入り込みブレています。15秒間人物が止まるのは不可能なためです。

この状況で先幕か後幕かはあまり関係がないのですが、一応解説しておきます。

先幕シンクロとは
露光開始直後にストロボを発光する。つまり、先に物体をストロボ(閃光)で写し残りは残像(定常光)。
通常であればこの設定になっています。

先幕シンクロ。今から行く方向に光の残像があり、不自然。CANONさんのHP参考

後幕シンクロとは
露光が終わった後にストロボを発光する設定。つまり、初めが残像(定常光)で最後に物体をストロボ(閃光)で写す。
カメラ側で設定するが、できないカメラもあり。

後幕シンクロ。辿ってきた軌跡になっていて、こちらのほうが自然に見える。CANONさんのHP参考

通常であればどちらのシンクロでも写り方は変わらない。
もしもスローシャッターで動くものが画角に入る場合は、どちらにするか考える必要がある。

先幕シンクロで露光開始、ストロボが光った後、人物が画角外に退散すると↓のようになります。

先幕シンクロで人物込みで撮影後、画角外に退散

ブレのないストロボでの写真と、人物が写っていない定常光がミックスされ、透明人間みたいになりました。

では露光時間を短くするとどうなるかというと、星が暗くなってしまいます。

そしてピント問題もあります。

先程の写真たちはピントを星にしているため、ピントも合っていません。

星にも前景にもピントを合わせようとするために、3つの方法があります。

①F値を上げてパンフォーカスにする。
ISOがかなりあがってしまい、ノイズだらけの写真になります。


②小さいセンサーのカメラを使う。

マイクロフォーサーズであれば、F1.7であってもフルサイズのF3.4相当の被写界深度を確保できます。


③手前にピントをあわせて露光開始し、露光中にフォーカスリングを動かし無限遠にする。

少し難易度が高い。

合成写真に抵抗がない方であれば、ブレもピントも解決するには2枚の写真を合成するのが手っ取り早いですね。

①星にピントをあわせ、星景写真をしっかりと露光して撮る。

②1と同じ構図で人物をいれて1/160などで撮影。

この2枚をフォトショップで合成しちゃえば一件落着。

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ここまでお読み頂きありがとうございました。
参考になりましたら幸いです。

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