よく望遠ほど被写界深度が浅いといわれていて、なおかつ被写界深度が浅い=背景がボケると言われていますが、必ずしもそうなるわけではありません。
実は被写界深度が浅い写真と深い写真を比べて、深い写真の方が背景がボケているという状況はあり得ます。
被写界深度は撮影距離
被写界深度の深さとと背景ボケの大きさは必ずしも比例しない。
次の写真をご覧ください。
25mmF4で撮った←の写真の方が「ピ」がかなりボケていて被写界深度が浅いことがわかります。
しかし、背景ボケは70mmF8で撮った⇨の写真のほうがボケていますよね。
25mmで撮った写真の「海」部分のピントは合っていないように見えますが、このレンズ(24−70mmF2.8DG DN)は広角接写での周辺描写が悪いので解像感が甘く見えるだけです。
中心の描写は問題なく解像するレンズなので、中心に位置する「ピ」部分がボケているのは被写界深度が浅いからです。
このように被写界深度が浅い写真の方が背景ボケは少ないといった状況も考えられるのです。
被写界深度は撮影距離と焦点距離とF値によって決まります。
被写界深度が浅い | 被写体深度が深い | |
---|---|---|
焦点距離 | 長い | 短い |
撮影距離 | 短い | 長い |
F値 | 低い | 大きい |
ですが、同じ大きさで被写体を写す場合は、焦点距離が長いほど撮影距離が長くなりますので、この二つは相殺され、F値のみが被写界深度に影響するというイメージです。
被写体の大きさを揃えた場合、広角でも望遠でも被写界深度はほぼ同じ
F値は同じなので、70mmの方が被写界深度が浅いと思っている方が多いと思います。
背景ボケはみなさんご存知のように、焦点距離が長い70mmの方が圧倒的にボケます。(この写真では背景は写っていませんが・・・)
これは衝撃的ではないでしょうか。
背景ボケはどの焦点距離でも同じ!?
考え方によっては、背景ボケはどの焦点距離でも同じになります。
「さっき焦点距離が長い方がボケるっていったじゃないか!」と言いたくなった気持ちわかります。
さて、次の写真をみてください。
(完全に同じ大きさにはなっていません。悪しからず。)
やはり焦点距離が長い⇨の写真の方がボケていますね。
ですが、24mmの背景を拡大してみると。
なんと同じ部分で比較した場合、背景のボケ量はほぼ同じなのです。
つまり望遠レンズで背景がボケる理由は、遠くのものが圧縮され大きく見えるから、ボケも大きく見えるということです。
ピント面から離れれば離れるほどボケ量は大きくなりますので。
広角レンズは広く写る。すなわち手前のある部分の含有率が多くなる(ボケていないところが多く写る)ため、ボケていないように見えるというカラクリです。
ボケ部分だけを拡大なんてことを普通はしないため、望遠レンズの方が背景がボケるという表現を否定するつもりは全くございません^^;
24mmで撮った写真のボケ部分を拡大という少しインチキのような比較でしたが、本質的な部分を知っておくことで、背景ボケに対する考えが変わると思います。
おわり
今回のことを踏まえると、
例えばポートレートで被写体の両目にピントをあわせたい場合は、広角や標準でF1.2で撮るよりかは、望遠でF4などに絞る方が被写界深度が深くなり撮りやすいということです。(被写体を同じ大きさで撮影すると仮定した場合ですよ!)
そして、背景と被写体が分離した立体感がある写真を撮りやすいのも望遠レンズで絞ったときです。
なぜだかわかりますか?
望遠レンズでF4あたりに絞ると、被写界深度は深いのに背景はボケボケの写真が撮れます。
つまり被写体と背景が綺麗に分離するということです。
この知識を是非、今後の撮影に生かしてくださいね^^
↓のような比較もしておりますのでよろしければ御覧ください。
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