みなさんこんにちは。
今回の記事ではストロボ光に関する基礎知識や柔らかい光になる状況を紹介します。
意図して光の硬さを操作することができるようになります。
①光に関する知識。何故光が重要なのか。光の読み方。
②ストロボ光の基礎知識。柔らかい光を作るための方法や知識を検証を用いて解説←本記事
③ストロボ光の応用知識。日中シンクロをする方法2つ。フラッシュ同調速度とは何か。
↓が結論です。
柔らかい光 | 硬い光 | |
---|---|---|
光源の距離 | 近い | 遠い |
光源の光量 | 少ない | 多い |
影の濃さ | 薄い | 濃い |
光源の大きさ | 大きい | 小さい |
天気 | 曇り、雨 | 晴れ |
本当にこうなるかを検証を交えて解説していきますね。
光の硬さを操るための知識
今回の検証はすべてTT600Sというストロボを使っています。
柔らかい光と硬い光の違いは影の濃淡を見てください。
つまり、光があたっている部分とあたっていない部分の差が激しい(コントラストが強い)状態が硬い光ということです。
広範囲に分散して光を当てると柔らかい光になりますが、硬い光は狭い範囲に光があたり、あたっている部分の質感が強調されやすいと考えます。
①F値を低くしてISOを低くしたときと、F値を高くしてISO感度をあげたときで違い
F値を下げると光量が増えますのでISOを下げることができますね。
ほとんど変わりませんが、F値を下げた場合の方が若干柔らかいように見えます。
何故こうなったか不思議ですが、ISOを上げるとシャドウの階調を失って黒く潰れやすいのかなと思います。光の当て方は同じなので。
Q「シャッタースピードは光の硬さに関係するの?」
A.ストロボ光当たっている部分には、硬さどころか露光量すら影響しませんので気にしなくてOKです。
どれだけシャッタースピードを落として光を取り込んでも、ストロボ光は閃光なので、露光量が変わりません。
②ストロボの光量を上げてISOを低くした時とストロボの光量を下げてISOを上げた時の違い。
光量というのはストロボの光量のことです。
ストロボの光量を弱めた方が光が柔らかくなることがわかります。
かなり大きな違いですね。
光を柔らかくしたい場合はストロボの光量はなるべく低い方がいいとわかりました。
{追記}たしかこのとき部屋の照明もつけていて、ISO3200や6400だと定常光の露出が多くなったことが影響した可能性があります。
ストロボ光量自体が光の柔らかさに影響を与えているというよりかは、「ストロボ弱める=定常光の占める割合が多くなる」ということで、結果的に光が柔らかくなるのかなと思います。
③光源の大きさによる違い
※ここからはストロボの光量は固定して撮影しています。
光源とはその名の通り光の源。光量とは別です。
つまりストロボをそのまま使った時よりはディフューザーを使った方が光源が大きくなります。
この7つにワイドパネル直射と天バンを加えた9通りです。
内臓ディフューザーとは
TT600に内蔵されているキャッチライトパネルのことです。ストロボを上に向けていても前方にも光がいきます。
ワイドパネルとは
TT600に内蔵されている光を拡散させるパネル。どちらかというとこちらのほうがディフューザーのようなもの。
天バンとは
天井バウンスのことです。天井に光を当て跳ね返って拡散された光を利用する。天井がある屋内でしか使えません。
光源としては天井が一番大きくなります。天井は巨大ですから。その次にアンブレラと続きます。
一番光源が小さいのはもちろん直射です。
ワイドパネルを使用しても光源の大きさはかわりませんが、光が拡散されるので、被写体の後ろ側にも光が回りやすく、柔らかくなることが期待できます。
それでは、検証結果をどうぞ。
※全てF値14 SS1/100 1/4発光でISOだけ変えて撮っています。
柔らかい順に
①ワイドパネル天バン
②内蔵ディフューザーワイドパネル天バン
③天バン
④アンブレラ
⑤ディフューザー大
⑥ディフューザー中
⑦ディフューザー小
⑧ワイドパネル直射(⑨とほぼかわらない。)
⑨直射
という結果になりました。
ワイドパネルは天バンのときにさらに拡散させる効果があるようですが、直射ではほとんど意味がないことがわかりました。
結果は、光源が大きければ大きいほど光が柔らかくなることがわかりました。
もう一つわかったことは、直射が一番光が強く、天バンはかなり光が弱まることがわかりました。光があらゆる方向に拡散するためですね。
天バンは柔らかい光を簡単に作り出せるというメリットがありますが、あらゆるものに光が拡散するため、壁の色、家具の色などの影響を受けるので、なるべく白い壁の部屋で使うのが望ましいです。
④ストロボを被写体に近づけたときと遠ざけた時の違い
そして、肝心の光の柔らかさですが、近づけた時の方が影が小さいですし柔らかいといっていいと思います。これは意外だったのではないでしょうか。
光を遠くから当てる方が拡散はするのですが、被写体から見て光源が小さくなってしまいます。
被写体にストロボを近づけた方が被写体から見た光源が大きくなるため光が柔らかくなるということです。
太陽自体はかなり大きいですが、離れているため被写体(人物)から見ると小さいですよね。したがって、太陽の光はコントラストが付きやすく硬い光になっているのです。
⑤ディフューザーを被写体に近づけたり遠ざけた時の違い
先程の検証はストロボの位置を変えましたが今回はストロボの位置はそのままで、ディフューザーであるアンブレラの距離だけを変えてみました。
圧倒的な差ですね。ストロボも含めてディフューザーはなるべく近い方がいいということです。
⑥写真自体の露出による違い
硬いというよりかは、硬く見える、といった感じでしょうか。
女性や花など柔らかいイメージで見せたい被写体は露光量を上げますよね。
明るさによって硬さの印象はかなり変わりますね。
まとめ
かなりの情報量になりましたのでまとめます。
① F値を上げてISOを上げるより、F値を低くしてISOを下げる方が光が若干柔らかい。(ISOを上げるとシャドウが潰れやすいから?)
② 定常光も影響する状況の場合、ストロボの光量が少ない方が光が柔らかい。(定常光の占める割合が多くなるから、ストロボを当てた部分が目立ちにくい)
③被写体から見て光源は大きい方が光が柔らかい。
④ストロボを被写体に近づけた方が光が柔らかい。
⑤ディフューザーを被写体に近づけた方が光が柔らかい。
⑥写真の露出を上げた方が光が柔らかく見える。
①、②、⑥に関してはストロボ光が柔らかくなるというよりは、結果として出来上がった写真が柔らかく見えるという感じでしょうか。
③は光源がなるべく大きい方が被写体の後ろまで光を届けることができるからですね。
④も⑤も被写体の後ろにも光を回りやすくするため、被写体の後ろ(影部分)にまで光が届くということは当然影も薄まるわけです。
ただ、柔らかい光=正義ではありません。
なぜなら、影が薄い=コントラストを付けにくいとも取れますので、場合によってはメリハリがない写真になります。硬い光にして敢えてかっこよく仕上げるといった状況も考えられますので、撮りたい写真のイメージによって変えてください〜
以上参考になりましたら幸いです。
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